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災害ボランティアの現況と継続

2019年9月9日・台風15号による千葉県の被害は甚大でした。
家屋の雨漏りは地震並みと思われ、いたる処にブルーシートが張られた状況で、瓦屋根がズレたり、吹き飛ばされたりの被害のあった家屋は9月27日の時点で約2万棟にのぼりました。
そして日を追うごとに被害拡大のニュースが入る中、9月13日に出張先のカトマンズから山梨県知事へ「ブルーシート掛け隊の出動は可能」とのメールを入れたのでありました。

被害現地に出発

【9月14日】
防災局から状況の報告と、「一般社団法人 災害復旧職人派遣協会」へ派遣要請があり、資材その他準備に入りました。
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【9月15日】
山梨県が支援と職人派遣を発表
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【9月16日】
羽田着、県知事から追加派遣の出動要請がありました。
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【9月18日】
出発式は防災局長より県知事の訓示を代読。6名のメンバー(2週間の活動を予定)と県防災局より2名の職員で出発の運びとなりました。

山梨県からの派遣要請は2度目で、弊社は「阪神淡路大震災」から10度目の派遣であります。
特に今回の山梨県の動きは素早く、災害復旧の現状や問題点のチェックが出来た事と思います。
以前にも書き添えたと思いますが、長崎幸太郎県知事は「熊本地震」の際(当時衆議院議員)に一緒に「ブルーシート掛けボランティア」に参加された経緯があり、現状を目の当たりに見た経験からと思います。今回の、防災局職員を2名送り込まれたのは、経験を積ませようとの思いからではないかと察します。

現地の様子

今回の被災地は海に囲まれているせいか、強風でブルーシートがまくれ上がっている家屋も多く見られました。
何故なら、それらの多くが応急処置で屋根にブルーシートを敷き、その上に土嚢袋を置くだけの方法が主流であったからです。
止むを得ないと言えば、止むを得ないのですが…。弊社は、10度の地震災害復旧の経験から、材木を使い余裕を持って半年は保てるよう、さらに強風にも耐えられるように施します。
どこの災害時でもそうですが、全国的に屋根屋さんは少なく、地元業者が施工に着手するには、半年待ち、一年待ちは当たり前です。したがって今までの経験から、耐久性に富んだ作業工程が必要になるのです。
2週間で100棟を目指しますが、富津市だけでも未だに300棟が順番待ちで、雨漏りに耐えている状況でした。

雨漏りの恐ろしさと、備えることの大切さ

雨漏りがすると、カビや腐食のほか、天井、電気器具、クロス、畳、衣類など、すべてが使用できなくなります。
その家に住み続けることを諦めざるを得なくなり、引っ越しを余儀なくされた人々がその地を離れていくことで空き家が増え、地域コミュニティが崩れていきます。
以前ボランティアで訪れた熊本では、そういった現状を見てきました。
これは今後、どの地域に於いても対岸の火事ではありません。
いついかなる災害時にも、対応可能な準備をしておかなければなりません。最低3日間は「自助」努力でしのぎ、後の3日間はご近所と助け合う「共助」でしのげば、1週間後からは「公助」つまり、行政や多方面からの協力隊が派遣されます。
個人や企業に於いては、災害時を絶えず想定し自己訓練しておく必要があります。
一番の訓練は、当協会と一緒に1日でも良いので参加してみていただくことです。長崎県知事同様、現場に行き感じることです。

10月4日に、県知事に報告会があり、9日には山梨県市町村会において「説明会」を仰せつかっています。
さらに、10日には広島県へ「災害復旧職人派遣協会」の説明会に行ってきます。この様に、弊社の被災地への24年間・10度の派遣そして経験と蓄積が社会貢献として、今、実を結ぼうとしています。

日本ステンレス工業株式会社 会長 石岡博実