山梨から日本、そして世界へ。

2019年9月9日「令和元年房総半島台風」

この年の9月5日に発生した台風15号は、日本列島に近づく頃には最大瞬間風速57.5m/秒を記録し、観測史上1位となる記録的暴風となりました。
一時は93万戸が停電し、住宅への被害は最終的に74,900棟を超えることとなりました。長野県の千曲川、福島県の阿武隈川などが氾濫。ゴルフ練習場のポールが倒壊して民家を直撃する惨事も発生しました。市街地では電柱が倒れ・停電・断水・倒木など、その被害は多岐にわたりました。

 山梨県長崎幸太郎県知事の要請により(一社)災害復旧職人派遣協会が出動。2018年の「新潟・山形地震」に次ぐ2度目の出動要請でしたが、弊社のこれまでの災害ボランティア活動の中でも、台風での出動では初めてでした。
 奇しくも「阪神淡路大震災」から10回目となる災害派遣でした。しかし弊社石岡は、山梨学院大学からの要請で、ネパールのトリブバン大学と学院大の学術協定に向けて、カトマンズ入りをしていた最中でしたため、日本とカトマンズとの間で連絡を取り合いながら出動準備が進められました。
その間の動きはこのようなものでした。

【要請から3日後の9月13日】長崎知事と打合せ
【9月14日】防災局から状況報告と正式要請
【9月15日】山梨県が支援及び職人派遣を発表
【9月16日】石岡がネパールから帰国
【9月18日】出発式。防災局長より長崎知事の訓示の代読を頂き、第1陣6名の職人と山梨県防災局職員2名で千葉県富津市へ。

 日本とカトマンズの距離はありましたが、弊社の職人・幹部社員はこれまでの経験が十分に蓄積されていました。指揮をとる石岡の留守中にあっても準備は万全となったことは、後継者が育ったことを意味しています。
同時に、山梨県防災局職員との活動も前年の「山形・新潟地震」に続いて2度目の活動であり、被災地における連携を図る大きなステップとなりました。さらに、山梨県議会から卯月政人議員・水岸富美男議員・杉原清仁議員・鷹野一雄議員も災害ボランティアに参加していただきました。災害には同じものはありません。被災地に行かなければ、問題点は分からないのです。そうした意味で、山梨県、防災局、県議会との災害復旧活動は大きな意義がありました。

 16日間、延べ参加人数は78名の活動でしたが、事故も無く無事使命を果たして帰県しました。その後、長崎幸太郎県知事より一人一人に感謝状が授与されました。また、今回の派遣先である千葉県の森田知事からも感謝状をいただきました。

 この年の2019年12月、(一社)災害復旧職人派遣協会は山梨県本部と広島県支部との協定書を交わしました。
さらに翌年2020年2月に開催した「山梨県防災研修」には、広島県から工藤支部長他3名に参加していただきました。そしてその9月に「広島県知事との協定」へと向かったのでありました。
 本年2021年の5月には「福岡県知事との協定」を結びました。コロナ禍の落ち着かない時期ではありましたが、福岡県防災局の防災意識は非常に高く、急ぎたいとの連絡をいただき、協定書類を交互に送付しながら協定を締結しました。
 そして、5月には「東京都庁」、8月には「山口県庁」へ赴き説明会を行っています。この9月には宮城県に赴く予定が入っています。その後、静岡県・九州全域の県・岐阜県・愛媛県・北海道へと予定が続きます。

 災害は、いついかなる時に来ても不思議はありません。ここ近年、2016年から2020年まで毎年の出動記録があります。国も県も災害時の体制を整える必要が急務となっています。それも、プロ集団の組織作りの必要性が叫ばれています。
 今回の8月9日の「台風9号」による大雨では、広島県からの要請で「広島県支部」が活動を開始しました。広島県との協定団体は、当会の「災害復旧職人派遣協会」と「広島県建設業労働組合」「広島県工務店協会」の三団体です。
 今後各方面、今回は広島県支部から災害時における情報やノウハウの蓄積が上がってくる事になっています。今まで10回に及ぶ災害ボランティアで培った経験を生かし、あらゆる情報を共有しながら、これからも前進して参りたいと思います。
 今後とも、皆様のご協力をお願い申し上げます。